「尺八」に酔いしれた夕べ 『中野WISH交流会』~令和5年12月12日(金)開催~

 「尺八」という楽器は、竹製縦吹きの管楽器。長さ一尺八寸(約54.5cm)、五孔。もともと中国の唐時代に作られ、日本に伝わったものという。現在では中国では廃れてしまい、尺八が現存するのは世界中で日本のみと言われる。

 去る令和5年12月12日(火)19時から「早稲田大学レジデンスセンター中野国際学生寮」に於いて、同センターと豊島稲門会との共催の形の早稲田大学SIプログラムの一環として、尺八奏者の黒田鈴尊氏を招いて『尺八演奏の夕べ』が開催された。留学生、地方学生10名が受講。豊島稲門会からは石川宜司会長以下9名が参加した。


 黒田鈴尊氏は早稲田大学人間科学部卒、東京芸術大学大学院終了という経歴を持ち、人間国宝・二代青木鈴募、三代青木鈴募に師事。二十歳の時にかの武満徹の曲を聴いて感銘を受け、尺八奏者を志したというから驚く。令和元年度文化庁文化交流使。今も世界中で公演活動を行い活躍中。

 会の冒頭は、本曲と呼ばれ尺八のみの独奏曲、『大和調子』、『虚空』そして『巣鶴鈴慕』が吹かれ、会場(教室)は一瞬にして深山幽谷に彷徨い、満天の星空の荒野に投げ出され、宇宙遊泳しているが如くの心境が創造されていた。続いて現代曲として『Liquid Pulse』が吹かれ、変幻自在の音の強弱、高低、ビブラート、絶え間ない息継
ぎの音が奏でられ、無限の何者かに連れ去られるような不思議な感覚を味わった。

 最後は、聴講学生の要望に応え、なんとJ.Sバッハの『無伴奏チェロ組曲』が吹かれ、あのカザルスも吃驚の超絶技巧で、会場の高揚は最高潮となった。学生との交流という有意義な目的を達し、90分という時間のなんと短く感じたことだった。

 (参加者:石川宜司・石塚努・小野田真子・高島民雄・加藤重光・大野修一・
       小泉博明・濱田義文・相馬盛邦     順不同/敬称略 以上9名)

(文責:石塚努 S47理工卒   写真:加藤重光 S47教育卒)

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